ChromeOS (クロームオーエス)[ 注 1] は、Google が設計したオペレーティングシステム (OS) である。Linuxカーネル をベースにしており、Google Chrome ウェブブラウザ をメインのユーザインタフェース (UI) として使用している。そのため、ChromeOSは主にウェブアプリケーション をサポートする[ 5] 。
概要
2009年7月、Googleは、クラウド 内にアプリケーション とユーザーデータを保管するOSとして、プロジェクトをアナウンスした。同年11月、ソースコード とデモが公開された。
ChromeOSは当初「Ubuntu 」をベースに開発されていたが、2010年2月にGentoo Linux のパッケージ管理システムであるPortage を使用するためにベースとなるOSをUbuntuからGentoo Linuxに変更した[ 6] 。
「Chromebook 」として知られる最初のChromeOSラップトップは2011年5月に発表され、最初の「Chromebook」は2011年7月にサムスン とエイサー から発売された。
ChromeOSには、メディアプレーヤー とファイルマネージャ が統合されており、ネイティブアプリケーションのように動作するGoogle Chrome App (英語版 ) や、デスクトップ へのリモートアクセスが可能である。
2014年からChromeOS上にAndroid Runtime for Chrome (ARC) と呼ばれるAndroid アプリケーション 実行環境[ 7] を搭載したことで、一部のAndroidアプリがChromeOS上で動作するようになった。
2016年には、対応するChromeOSデバイス上でGoogle Play Store 上の全てのAndroidアプリ が実行できるようになった。当初は、どんなOSでも動作するブラウザを使用しているため、ChromeOSの普及には懐疑的な意見もあったが、ChromeOSマシンが市場に普及するにつれ、オペレーティングシステムは単純にハードウェアと切り離して評価できるものではなくなってきている。
さらにChromeOS上にLinux サブシステム(Linux仮想環境)を搭載し、Linuxアプリをサンドボックス内で動作させることのできる「Project Crostini」が進められており、2022年2月現在でも一般提供されている[ 8] 。
ChromeOS上で動作するAndroidアプリケーションをデバッグするには、ChromeOS端末を開発者モードに設定する必要があるが、開発者モードでは端末のセキュリティレベルが低下するという欠点がある。
Linuxサブシステムを有効にすることで、ChromeOS端末を開発者モードに設定することなく、ChromeOS上でAndroid Studio を使ってAndroidアプリケーションを直接開発・配置・デバッグすることも可能となっている[ 9] 。
Windows・mac・Linuxを搭載したPCにはユーザーはChromeOS Flex をインストールすることが可能であり、Androidアプリケーションがサポートされていないなどの制限はあるものの、ChromeOSの殆どの機能を利用できる[ 10] [ 11] 。また、オープンソース版のChromium OS は、単体で配布されており、http://chromeos.hexxeh.net/ にてVanilla buildsという派生版や http://getchrome.eu/ にてCr OS Linuxというものも開発されている。さらにWi-Fi のサポートなどを追加したChromium OS lime、Docker と統合されたCoreOS なども誕生した。
展開
ChromeOSは、ウェブの閲覧とウェブアプリケーション の動作に適したOSとして、主にx86 やARM などのアーキテクチャ を採用したネットブック やデスクトップパソコン へ搭載されるOSとしての展開を想定している。11.6〜14インチのノートパソコン を中心としながらも、5インチのタブレット から60インチのディスプレイ まで対応できるよう様々なUIを用意されている[ 12] 。
Googleが提供するもう一つのOSであるAndroid は主にスマートフォン などの小さい携帯端末に向けたものだが、ネットブックに応用する動きもある。一方、ChromeOSは、ネットブックより性能の高いフルサイズのデスクトップシステムにも最初から対応すると明言している[ 13] 。
ChromeOSはオープンソース ライセンスに基づいて提供されている[ 14] 。上記のようにLinux とGoogle Chrome、および同社が開発した独自のウィンドウシステム が用いられるという[ 15] 。
エイサー (Acer)、ASUS 、ヒューレット・パッカード (HP)、レノボ [ 16] 、東芝 [ 17] といったパソコンメーカー、アドビシステムズ 、フリースケール 、クアルコム 、テキサス・インスツルメンツ [ 16] 、インテル [ 18] といった大手IT企業が開発に協力している。
2017年以降、Windows 7 のサポート終了(2020年1月)を機に価格の安い「Chromebook 」 を導入する企業が増えており、ChromeOSが日本でも徐々に普及が進んだ[ 19] [ 20] [ 21] 。
ChromeOSの世界出荷台数は、2020年に初めてmacOS を抜いてWindows に次ぐ2位となり[ 22] 、2021年は前年比13.5%増の3700万台であったが[ 23] 、2022年は1980万台とほぼ半減している[ 24] 。
歴史
機能
基本Googleアカウントでのログインが必須であるが、ゲストモードでの利用は可能である。ChromeOSのUIは、基本的にGoogle Chrome だけが前面に出ている形で、すべてのアプリケーションはウェブアプリケーションという形でGoogle Chromeにインストールされ、実行される。WindowsやMac OSなどのようにデスクトップ上にアイコンを作ることはできず、ランチャーを起動してから「シェルフ」と呼ばれる画面下部の領域にアプリのショートカットを作るか、Google Chrome内にブックマークを作る必要がある。
ユーザーが作成したデータはGoogle Drive に保存することが前提となっている。
使用するアプリはChrome Web Storeにて配布され、無料または有料で利用できる。
Chrome Web Storeへのアプリの登録は有料 で、開発者は最初に5ドルの登録料をGoogle側へ支払う必要がある[ 30] 。
2017年に8月22日には企業向けに運用・管理機能を充実させた「Chrome Enterprise」が発表され、プリンタ管理、OSアップデートの制御、盗難防止などの機能が追加され、24時間365日のサポートも提供されている。また、Microsoft Active Directoryにも対応しており、既存のActive DirectoryのIDなどを使用して、Windows PCと併せて一元管理可能になっている[ 19] 。
反響
搭載機種
脚注
注釈
^ Googleは2022年7月にChrome OS(スペースあり)からChromeOS(スペースなし)に改名した。[ 4]
出典
^ “Stable Channel Update for ChromeOS / ChromeOS Flex ” (2024年6月25日). 2024年7月29日 閲覧。
^ the Chrome team. “Beta Channel Update for ChromeOS/ChromeOS Flex ”. 2024年7月29日 閲覧。
^ Google . “AI超解像ズーム対応カメラ、Androidスマホで簡単OS設定 ~「ChromeOS 126」が安定版に ”. 2024年6月27日 閲覧。
^ JAY PETERS (202-07-15). “It’s ChromeOS now, not Chrome OS ”. 2022年12月10日 閲覧。
^ “Kernel Design ”. The Chromium Projects . 2018年6月24日 閲覧。
^ “Chrome OS、クロスコンパイルにGentooのPortage採用 ”. ITmedia (2010年2月18日). 2010年2月20日時点のオリジナル よりアーカイブ。2014年3月14日 閲覧。
^ Google working on new way to run Android in Chrome OS - 9to5Google
^ Chromebook で Linuxをセットアップする - Chromebook ヘルプ
^ 開発環境 | Android デベロッパー | Android Developers
^ “インストールを準備する - ChromeOS Flex ヘルプ ”. support.google.com . 2022年12月10日 閲覧。
^ “ChromeOS Flex と ChromeOS の違い - ChromeOS Flex ヘルプ ”. support.google.com . 2022年12月10日 閲覧。
^ Form Factors Exploration (The Chromium Projects)
^ グーグルのブログ記事 "Introducing the Google Chrome OS" 2009-07-11閲覧
^ Shiels, Maggie (2009年7月8日). “Google to launch operating system ”. BBC News. 2009年7月8日 閲覧。
^ Arrington, Michael (2009年7月8日). “Google Chrome: Redefining The Operating System ”. TechCrunch. 2009年7月8日 閲覧。
^ a b 「Google Chrome OS」は無料、共同開発企業名も公表 、Impress INTERNET Watch、2009年7月9日
^ Google「Chrome OS」に東芝が参加 国内メーカーは動向注視 、ITmedia、2009年7月23日
^ インテル、グーグルの「Chrome OS」開発に参加していたことを明らかに 、computerworld.jp、2009年7月10日
^ a b 米グーグルが企業向け「Chrome OS」、Windows PCからの移行促す
^ a b Chromebookは本当に企業で使えるか?
^ 「Windows 7の9割はChromebookへ移行する」、東急ハンズ
^ “2020年の世界PC出荷台数、ChromebookがMacを上回る IDC推計 | 財経新聞 ”. www.zaikei.co.jp (2021年2月22日). 2022年12月10日 閲覧。
^ “Chromebookの第4四半期の世界での出荷台数は64%減──IDC調べ ”. ITmedia PC USER . 2022年2月25日 閲覧。
^ “Chromebookの出荷台数、2022年は前年からほぼ半減 | 財経新聞 ”. www.zaikei.co.jp (2023年2月11日). 2023年3月18日 閲覧。
^ 「Pixelbook」発表--Googleアシスタント搭載、別売スタイラスも - CNET Japan
^ a b “Early access to Chrome OS Flex: The upgrade PCs and Macs have been waiting for ” (英語). Google Cloud Blog . 2022年2月16日 閲覧。
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^ “Google、「Chrome Web Store」に5ドルの登録料――不正ソフト予防策として ”. ITMedia News. 2010年8月22日 閲覧。
^ Ina Fried (2009年7月30日). “Ballmer: Windows will get more competition ” (英語). CNET News. 2009年12月12日 閲覧。 Ina Fried; 湯木進悟(翻訳校正) (2009年7月31日). “「Windowsへの脅威が高まっている」--MSのバルマーCEO、Chrome OSなどを警戒する発言 ”. CNET Japan. 2009年12月12日 閲覧。
^ 「Windows 7の9割はChromebookへ移行する」、東急ハンズ (日経クロステック)
^ Chromebookは本当に企業で使えるか? (日経クロステック)
^ Chromebookの企業導入を支援するサービス、電算システムが提供を開始
^ “小中「1人1台端末」シェア争奪戦の勝者と敗者 ”. 東洋経済education×ICT (2021年4月29日). 2022年2月25日 閲覧。
^ 【プレスリリース】リユースPCをChromeOSに乗せ換え、非営利団体へ寄付 ~子供のIT教育機会を充実させ、未来のIT人材確保へ繋げます~ (北海道IT推進協会)・使われなくなった法人向けWindows PCをChromebookにして学習支援団体に寄付 北海道IT推進協会 (ITmedia NEWS)
^ 例:ChromeOS Flex搭載の中古パソコン販売開始 (サテライトオフィス )
関連項目
外部リンク