バート・バカラック (英語 : Burt Bacharach 、本名:バート・フリーマン・バカラック (英語 : Burt Freeman Bacharach )、1928年 5月12日 - 2023年 2月8日 )は、アメリカ合衆国 出身の音楽家 、作曲家 、編曲家 、ピアニスト 、音楽プロデューサー 、シンガーソングライター 、楽団 指揮者 。
ミズーリ州カンザスシティ生まれ。ニューヨーク市クイーンズ区のフォレスト・ヒルズ (英語 : Forest Hills, Queens ) 地域で育った。ドイツ系ユダヤ人の血をひく[ 1] 。カナダのモントリオールにあるマギル大学シューリック音楽スクール 、ニューヨークのマネス音楽大学 、サンタバーバラのウェスト音楽アカデミー(Music Academy of the West)で学び、1962年から70年代にかけて、作詞家のハル・デヴィッド とのコンビで多くのヒット曲を作曲した。2006年の時点において、米国で70曲のトップ40 、英国で52曲のトップ40の実績がある[ 2] 。また、アカデミックな作曲技法をダリウス・ミヨー 、ヘンリー・カウエル といった、いわゆる西洋芸術音楽 (クラシック音楽 )の作曲家に師事している。バカラックのアカデミックな音楽センスはこの時に培われたものである。
父親は著名なコラムニスト であったMark Bertram Bacharach。
キャリア
50年代、多くの曲を書きためながら不遇だった時期にマレーネ・ディートリヒ が彼の才能を見抜いてバックに起用した。彼女の公私ともに渡るパートナーとなり彼女のステージに同行し、バックのオーケストラの指揮、アレンジ及び伴奏ピアノを担当したころから注目を集めるようになった。やがて、作詞家 ハル・デヴィッド とのコンビにより最盛期を迎える。
自身でも歌を歌いソロ・アルバムも発表しているが、他歌手への楽曲の提供、編曲 、プロデュースが知られている。(ディオンヌ・ワーウィック 、B・J・トーマス 、ダスティ・スプリングフィールド 、カーペンターズ 、トム・ジョーンズ 、ジャック・ジョーンズ 等)。代表作に「ウォーク・オン・バイ 」「遙かなる影 」「世界は愛を求めている 」「小さな願い 」「ベイビー・イッツ・ユー 」「サン・ホセへの道 (英語版 ) 」などがある。
映画音楽 でも数々の楽曲を提供し、特にジョージ・ロイ・ヒル の監督映画『明日に向って撃て! [ 3] (Butch Cassidy and the Sundance Kid) 』の主題歌「雨にぬれても (Raindrops Keep Fallin' On My Head) 」はアカデミー主題歌賞 を受賞した。1973年には、初めてミュージカル映画の音楽を担当した『失われた地平線 』が作られたが、この映画は大失敗作となった。
稀代のメロディーメーカーであり、コード進行の激しい曲構造に特徴がある。編曲においては、ジャズ を出発点としながらもボサノヴァ の世界的流行の時代にその影響を作風に反映した。モダンな和声 と複雑なリズム パターン が独自のバカラックスタイルとして確立、またその楽曲がラテンなど多くのジャンルのミュージシャンが好んでレパートリーに取り上げる等、流行となった。
しかし70年代半ばになるとそうした斬新な作風は影を潜め、作曲活動が停滞してしまう。80年代に入る頃からブラス 、ストリングス を含むフルオーケストレーション の編曲が求められない時代となり、活躍の場が減るが、"Arthur's Theme"(クリストファー・クロス ,1981)、"That's What Friends Are For"(ディオンヌ&フレンズ)、"On My Own"(パティ・ラベル & マイケル・マクドナルド ,1986)といった親しみやすい楽曲でヒットを飛ばした。
1997年の映画『オースティン・パワーズ 』ではエルヴィス・コステロ とともにカメオ出演をしている(バカラックは1967年の映画『カジノロワイヤル 』の音楽を担当している)。
他のミュージシャンとのコラボレーションが多かったが、2005年に28年ぶりにソロアルバム『アット・ディス・タイム (英語版 ) 』をリリース。2020年にはダニエル・タシアン (英語版 ) と組み、15年ぶりに新曲入りのアルバム『ブルー・アンブレラ』をリリースした[ 4] [ 5] 。
私生活では4回の結婚歴があり、2人目の妻は女優アンジー・ディキンソン 、3人目の妻はシンガーソングライター のキャロル・ベイヤー・セイガー である。
サラブレッド のオーナーブリーダーでもある。かつて第1回ドバイワールドカップ を勝ったシガー に続いてゴールした(2着馬)ソウルオブザマターを所有していた。
2023年2月8日、アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ロサンゼルス の自宅にて自然死。94歳没[ 6] 。
ミュージカル作品
主な歌曲作品
映画音楽
『リバティ・バランスを射った男 』 - The Man Who Shot Liberty Valance (1962年) ※作中で使われない同題のイメージソング作曲
Wives and Lovers (1963年) ※映画では使用されなかったイメージソング『素晴らしき恋人たち』
『禁じられた家 』 - A House is not a home (1964年) ※主題歌作曲
『何かいいことないか子猫チャン 』 - What's New,Pussycat? (1965年) ※音楽
『紳士泥棒 大ゴールデン作戦 』 - After the Fox (1966年) ※音楽
『アルフィー 』 - Alfie (1966年) ※主題歌だけ作曲
『007 カジノロワイヤル 』 - Casino Royale (1967年) ※音楽
『明日に向って撃て! 』 - Butch Cassidy and the Sundance Kid (1969年) ※音楽
『幸せはパリで 』 - The April Fools (1969年) ※主題歌を作曲
『テキサス大強盗団 』 - Something Big (1971年) ※主題歌を作曲
『ふたり自身 』 - The Heartbreak Kid (1972年) ※音楽
『失われた地平線 』 - Lost Horizon (1973年) ※音楽
『ミスター・アーサー 』 - Arthur (1981年) ※音楽
『ラブ IN ニューヨーク 』 - Night Shift (1982年) ※音楽
『メーキング・ラブ 』 - Making Love (1982年) ※主題歌作曲
『オフビート』 - Off Beat (1986年) ※音楽
『ミスター・アーサー2 』 - Arthur 2: On the Rocks (1988年) ※音楽
『協奏曲 』 (1996年) ※TBS製作のTVドラマ。音楽
『イズント・シー・グレート 』 - Isn't She Great (2000年) ※音楽
出演映画
『オースティン・パワーズ 』 - Austin Powers: International Man of Mystery (1997年)
『真実のマレーネ・ディートリッヒ』 - Marlene Dietrich: Her Own Song (2001年)
『Jazz seen カメラが聴いたジャズ』 - Jazz Seen: The Life and Times of William Claxton (2001年)
『オースティン・パワーズ:ゴールドメンバー 』 - Austin Powers in Goldmember (2002年)
主な受賞
アカデミー賞
1969年 映画『明日に向って撃て! 』主題歌「雨にぬれても 」 - "Raindrops Keep Fallin' on My Head" - Best Song
1969年 映画『明日に向って撃て!』 - Butch Cassidy & The Sundance Kid - Best Score
1981年 映画『ミスター・アーサー 』主題歌「ニューヨーク・シティ・セレナーデ 」 - "Arthur's Theme (Best That You Can Do)" - Best Song
グラミー賞
1967年 『アルフィー 』 - Alfie - Best Instrumental Arrangement
1969年 『明日に向って撃て! 』 - Butch Cassidy & The Sundance Kid - Best Original Score For A Motion Picture
1969年 『プロミセス・プロミセス 』 - Promises, Promises - Best Score From An Original Cast Show Album
1986年 『愛のハーモニー 』 - That's What Friends Are For - Song Of The Year
1997年 理事会賞 (The Trustees Award) ※コラボレーターのハル・デヴィッド と同時受賞
1998年 『アイ・スティル・ハヴ・ザット・アザー・ガール 』 - I Still Have That Other Girl – Best Pop Collaboration with Vocals with Elvis Costello
2005年 『アット・ディス・タイム 』 - At This Time – Best Instrumental Pop Album
2008年 生涯業績賞 (The lifetime achievement Award)
関連項目
出典
外部リンク
1934–1950 1951–1975 1976–2000 2001–2025
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