Internet Explorer 3は1996年8月13日に公開された[3]。日本語版は8月16日に公開されている[4]。約100人の開発者を3か月の間につぎ込み、Spyglassの技術を使用しているが、Spyglassからのソースコードは使用せずに開発された。Internet Mail and NewsやNetMeetingを含む。メジャーなブラウザとして部分的ではあるがCSS1に最初に対応したブラウザで、ActiveX コントロールやJavaアプレットなどに対応した。IE3は以前のIEと別にインストールできたため、アップグレードしたユーザーは互換性を保つことができた。このバージョンから青い「e」のロゴマークが使用された[5]。主要な機能追加だったCSSの対応が不十分で不具合が多く、JavaScriptもNetscapeとの互換性が皆無だったため、ライバルのネットスケープコミュニケーションズのNetscape Navigatorから乗り換えるユーザーは少なくシェアは増加しなかった。また、HTTP/1.1プロトコルに対応した最初のInternet Explorerでもある。
Internet Explorer 4
Internet Explorer 4は1997年9月30日に公開された[6]。Windowsと統合がはかられWindows 95やWindows NT 4.0は「Windows デスクトップのアップデート」を行った場合Windowsシェルが更新された[† 2](Active Desktopを参照)。またWindows 98に標準で搭載され、強力な市場シェアを築く要因となった。しかし、この統合は多くの批判を受け、裁判の原因になった(アメリカ合衆国の司法省とマイクロソフトとの裁判など)。
グループ ポリシーでの構成に対応した。Internet Mail and NewsはOutlook Expressに置き換えられた。レンダリング エンジンは新しく「Trident」に切り替わった。新しい試みとしてActive Channelと呼ばれるプッシュメディアが採用されたが、当初の期待に反して普及しなかった。当時は常時接続が一般的ではなかったのが原因だといわれている。当時としては高い先進性を持っていたブラウザであり初めてHTML 4.01に対応し、CSS1に完全対応した。また、現在では一般的になった「白地の背景に黒文字」のデフォルトスタイルを初めて採用した。同年12月4日に不具合を修正したIE4.01が公開された[7]。
Internet Explorer 5
Internet Explorer 5は1999年3月18日に公開された[8]。ルビ、MHTMLなどに対応した。同年12月8日に公開された IE5.01はバグの修正や暗号強度の強化、ウィンドウ再利用などの機能を備えたマイナー アップデートが行われた[9]。CSS2やDOM Level 1、XMLに部分対応した。IE5は標準準拠を比較的重視した手堅い設計でIE4と同様当時のブラウザとしては完成度が高く、OSとバンドルの効果も相まって高いシェアを得た。IE5.01 SP3以降のIEのサービスパックはWindowsのサービスパックの一部としてのみ提供され、単独では公開されていない(Windows 2000 SP3がIE5.01 SP3を、Windows 2000 SP4がIE5.01 SP4を含む)。IE:macはレンダリングエンジン Tasmanを基に再設計された。IE5.xは Mac OSとUNIX用の最後の提供となった。Windows 2000の延長サポート期限である2010年7月13日にサポートが終了した[† 3]。
Internet Explorer 5.5は2000年7月17日に公開された[10]。印刷プレビュー機能を搭載しCSS2の対応強化やXSLTの対応、縦書き表示、背景色でグラデーションに対応するなどの機能追加を行ったアップグレードとして公開した。このバージョンは動作安定性には比較的優れていたもののCSSやXSLTの対応は非常にずさんであったため、標準に従ったページの作成を行った場合に表示の不具合が多発し、ウェブ製作現場を混乱に陥れた[† 4]。この頃から新興のブラウザが台頭し、これらのブラウザベンダーは標準準拠の重要性を訴えたことから標準準拠度が低く不具合の多いIE5.5はやり玉に挙げられた。また、セキュリティホールの多さと対応の遅さもこの時期に表面化した。2000年11月1日に Service Pack1 が提供された[11]。2005年12月31日にサポートが終了した[† 3]。
Internet Explorer 6は2001年8月27日(日本語版は9月19日)に公開された[12]。DHTMLの拡張、CSS2の対応強化、DOM Level 2とSMIL 2.0への部分的な対応、内容制限されたインラインフレーム、JavaScriptによる独自のマウスポインタ指定にも対応した。他にメディアバー(SP2で廃止)、Windows Messengerの統合、エラー報告、自動画像サイズ変更、P3PとWindows XP ビジュアルスタイルでの表示が新機能として含まれる。反面、XHTMLやIDNに未対応、PNGも完全対応はしておらずCSS2対応も強化はしたものの不十分であるなど、公開時点ですでに時代遅れになっている仕様も目立った。IE6 SP2ではセキュリティ向上を目的とした幾つかの仕様の変更と廃止、ポップアップブロックなどいくつかの機能が追加された。2003年にはスタンドアロン版の開発と提供を停止した[13]。
2005年にWindows XPとWindows Server 2003のx64版がリリースされた。それ以降のx64版Windowsには32ビット版と64ビット版の2つのInternet Explorerがインストールされているが、デフォルトは32ビット版になっている。プラグインには32ビット版しか用意されていないものが多く、64ビット版IEで32ビット版のプラグインを使う仕組みがないためである。
Internet Explorer 7は2006年10月18日(日本語版は11月2日)に公開された[14]。名称が変更され、タブブラウジングなど新しいユーザーインターフェイス機能を実装した。設計段階でセキュリティの問題に多くの対策が施された。既に他のブラウザでは標準的でありIEのみが未対応であったPNGのアルファ合成などの対応に加え、IE6に比べてよりCSSなどで標準準拠が行われた。Outlook Expressのバンドルはなくなった。元々IE7はWindows Vista/Windows Server 2008専用としていたが、開発方針の変更によりWindows XP/Windows Server 2003にも提供された。
Internet Explorer 8は2009年3月20日に公開された[15]。IE8の第1の目標は既存のページの表示を崩すことなく標準規格に沿った優れた実装で対応すること、第2の目標としてIE7で起きた問題を避けることが挙がった。ウェブ標準準拠に加え、最優先事項の1つに含まれるセキュリティ強化やプライバシー保護対策、パフォーマンスや使い勝手も全般的に改善が行われた。Windowsと完全に分離したソフトウェアとなり、アンインストールが可能になった。また、このバージョンがWindows XPがアップグレードできる最後のバージョンである。
Internet Explorer 11は2013年10月17日(日本時間)に公開された[19]。WebGL、HTML5 メディア要素の拡張と保護メディアの対応、SPDY、JavaScriptオブジェクトモデル拡張等の機能が追加された[20]。JavaScriptの実行速度をSunSpiderの結果で比較するとInternet Explorer 10より9%速くなった[21]。なおこれがIEとして事実上最後のバージョンであり、以後はMicrosoft Edgeに機能移譲される格好となった。
Internet Explorer Developer Channel
Internet Explorer Developer Channelは、次期Internet Explorer機能の一部を開発者向けに事前公開することを目的としている[† 6]。2014年6月16日に公開されたバージョンでは、WebDriver API、F12開発ツール機能更新(デバッグ機能)、WebGL機能更新、GamePad APIなどが実装されている。App-Vクライアント仮想化技術により通常バージョンのInternet Explorer 11と独立して動作可能になっているが、次期バージョンを開発する前に追加しようとしている機能を確認する目的の実験的バージョンであるため、通常使用するためのものではなく、性能やセキュリティ面で問題がある可能性がある。
また、Internet Explorer for MacはMac OS 8.1からMac OS X v10.2まではデフォルトのウェブブラウザであったため、Macにおけるシェアも高かった。現在ではMac OSの開発元AppleによるSafariの提供、さらにはマイクロソフトによるInternet Explorer for Macの開発とサポート・配布の終了ならびに代替としてSafariなど(他にFirefoxやOperaなど)の使用の推奨を受け[† 7]、MacにおけるInternet Explorer for Macの占有率は、絶滅した。
市場占有率
Net Applications社 2019年8月[23] バージョン別の市場シェア(デスクトップのみ)
以前のInternet ExplorerのサポートライフサイクルはインストールしているWindowsと同一だったが、2014年8月にサポート方針が変更され、太平洋時間2016年1月12日から各Windowsにインストール可能な最新版のInternet Explorerのみサポートするという変更が発表された[† 10]。対象となるのは同日付けでサポート期間中のWindows Vista SP2以降のクライアントとWindows Server 2008 SP2以降のサーバー(Windows Embedded 製品も対象に含まれる)、それにインストール可能な最新版のInternet Explorerとなる。
2016年1月12日までは各Windowsで使用可能な複数のバージョンのInternet Explorerの修正プログラムの新規開発が行われるが、同日からは各Windowsの最新版のInternet Explorer用の修正プログラムのみ公開される。例えば、Windows VistaではInternet Explorer 7とInternet Explorer 8のサポートが2016年1月11日を最後に終了し、翌日以降はInternet Explorer 9のみサポート継続となり、2017年4月11日にWindows Vista自体のサポートが終了した[31]。
2019年4月16日より、R2にアップデートしていないWindows Server 2012やWindows Embedded 8 StandardでもInternet Explorer 11が利用可能になり[† 11]、2020年1月14日にこれらのOSでのInternet Explorer 10のサポートを終了させた[† 12]。
Windows 10ではOS標準ブラウザがMicrosoft Edgeへと正式に切り替わり、Internet Explorerの開発は終了した。一方、Windows 10には互換性維持のためにInternet Explorer 11が引き続きバンドルされている。Windows 10はサポートポリシーがこれまでより大きく変更され、アップデートを続ける限り半永久的な使用が可能である。したがってこれまでのサポートポリシーをそのまま適用するならば、Internet Explorer 11がバンドルされ続ける限りは半永久的にサポートが継続されることを意味するため、Internet Explorerの完全なサポート終了およびEdgeへの正式移行の時期は不明である。尚、Microsoft Edgeは、2018年12月6日に独自エンジンの開発を終了し、2020年1月15日[32]にChromiumベースのエンジンに切り替えられた[† 13]。
Windows 10 Enterprise 2015 LTSB のサポート期限の2025年10月14日までという話もあったが[33]、米Microsoftは2021年5月19日(現地時間)、Internet Explorerのコンシューマー向けバージョンのサポートを2022年6月15日(日本時間6月16日)に終了すると発表した[† 14]。
2009年にはWindows Mobile 6.5に搭載されたInternet Explorer Mobile 6からさらに名称を変更。2011年にリリースされた Windows Phone 7にはInternet Explorer Mobile 9が同梱され、Internet Explorer 9のレンダリングエンジンをベースにしている。Windows Phone 8にはInternet Explorer Mobile 10が搭載。