江戸川競艇場
江戸川競艇場(えどがわきょうていじょう)は、東京都江戸川区東小松川三丁目にある競艇場[1][2]。全国で唯一、河川の水面を利用した競走水面をもつ[1]。 概要1955年(昭和30年)8月12日に初開催が行なわれた。江戸川区にある競艇場ということから江戸川の名を冠してはいるが、実際にレースが行われているのは中川である。 ![]() 2010年度以降の通称は、BOAT RACE江戸川。2015年度以降、現在の正式名称「江戸川ボートレース場」となる。 主催者は、東京都六市競艇事業組合(構成自治体:八王子市、武蔵野市、昭島市、調布市、町田市、小金井市)と東京都三市収益事業組合(構成自治体:多摩市、稲城市、あきる野市)で、いずれも一部事務組合である[† 1]。 施設のオーナーは「関東興業」で、東京都3競艇場施設所有企業中唯一、鉄道系列会社資本ではない[† 2]。 日本最東端の競艇場である。 主な競走正月には新春金盃、ゴールデンウィークにはゴールデンカップ、お盆には大江戸賞、年末には京葉賞が行われている。 例年、6月頃に周年記念競走 (GI) として江戸川大賞が行われている。以前は「全日本モーターボートグランプリ」というタイトルであった。
水面の特徴1931年完成の人工河川「中川放水路」の流路にあり、全国で唯一河川の水面を利用した競艇場である[1][† 3] 水質は汽水である[3]。風の影響を受けやすく、そのために競走(レース)中止がよく発生する[2][† 4]。また、川の流れの他、河口に近いことから上げ潮や下げ潮による水位の影響を受けやすく[1]、川と潮がぶつかってうねりも度々発生するため競艇場の中でも屈指の難水面として知られている。インの勝率も全国平均と比べて低く、アウトコースから差しやまくりが決まったり、レースの最終盤まで上位入着艇が頻繁に入れ替わることも珍しくない[5]。また前述の難水面によりレース途中での転覆や落水等のアクシデントも他の競艇場に比べて圧倒的に多いことから、選手の中には江戸川競艇場での競争斡旋を受けない者が多くいた。2025年にびわ湖競艇場が発表した資料によれば、2023年度に江戸川競艇場の斡旋を希望しない選手は646名と、他場の3倍以上となっている[6]。 前述のように特異な水面であるため、艇界トップクラスの選手でも旋回に苦戦することがある一方、江戸川を得意とする「江戸川巧者」と呼ばれる選手も存在しており、この水面に対する巧拙は予想のファクターとして他場以上に重要な意味を持つ。特に潮流と風向きがぶつかり合うと波長が長いうねりを伴う波水面となり、波乗り技術の差が大きく出る。 進入はアウト屋等が大外に出る以外は、ほぼ全レースが3対3の枠なりとなる。これは潮の満ち引きに加え、スローに入る艇は定められた時間までにホームストレッチに艇を入れる必要があること・内規により3コースまでに入る艇はスローに入れるという決まり(4コース以降はスロー、ダッシュは問わない)・前づけの反則を厳しく取ること・ピットの位置などの問題もあるが、基本的にはこの水面の特殊性ゆえに選手間に存在する暗黙の合意(江戸川だから枠なり)に基づいている部分が大きいようである。このため、本来ならイン屋の西島義則や石川真二なども6コース進入という、他場ではまず見られない進入隊形になることも多い(西島の例[7]、石川の例[8])。 1991年から2002年にかけて、フリースタイルの進入が採用され、3-3スタイルの内規廃止、前付けを含むコース変動が可能であった[† 5]。実際、1991年の36周年記念の優勝戦では岩口昭三が6コース→2コース、43周年記念の優勝戦では金井秀夫が6コース→2コースと前付けを成功させているが、連対には至っていないが金井秀夫は準優勝戦でも前付けを行い、ここでは連対を果している。また44周年記念では初日のダイヤモンドレーサー賞において、17年ぶりの江戸川参戦であった中道善博が1号艇の熊谷直樹、2号艇の濱野谷憲吾に対して前付けを敢行し、イン逃げを決めている[† 6]。
施設の特徴スタンド対岸に大型映像装置がなく、これは徳山競艇場と2場のみである。真上に首都高速中央環状線があり、大型映像装置を設置できないためである。代わりにスタンドの2マーク側に小さな映像装置があるため、スタートの際などにレースコースに対して横に向きながら観戦する。首都高速からはレース場付近から防音壁が高くなるために内部を見ることができない。スタンドの対岸側首都高速下の堤防からは場内実況は聞こえないものの、無料でレースを観戦できる。 堤防の法面自体が階段状のスタンドになっており、舟券購入後に水面に出るには一度堤防を上らなければならない。 建物とスタンドの間は都道東京都道450号新荒川葛西堤防線となっており、レース開催日は締め切られ、レースが開催されていない時期は道路として利用される事になっていたが、近年は常時閉鎖されており、競艇場正門前の道に迂回する措置が取られている。
外向発売所2012年4月3日に、外向発売所がBOAT RACE 365としてリニューアルした。当初は1日最大8場(96レース)を発売し、全国最大であった。営業時間は7:30 - 21:00であり、モーニングレースを発売する日もある。2016年7月16日からは1日最大12場(144レース)に拡大する[9]。 施設名称には365と入っているが、年間営業日数は330日である。 SG開催実績
備考![]()
2024年10月17日の火災の影響2024年10月17日朝、競技棟の燃料保管庫にて火災が発生。モーターボートに燃料を給油中に引火したものとみられている[15]。この影響で当日開催予定だった「GⅢオールレディース江戸川女王決定戦 KIRIN CUP」は中止、10月19日まで臨時休館日として本場・外向いずれも発売・払い戻し業務が休止された[16][17][18]。外向発売所「BOAT RACE 365」は10月20日より営業を再開[19]、施設火災による復旧作業を行い、11月18日の「ういちの江戸川ナイスぅ~っ!カップ」より本場開催を再開した[20]。 この火災の影響で以下の全レースが中止された。 以下のレースは開催期間が変更される。
レースに関連したトラブル江戸川競艇場は「日本一の難水面」と言われ、以下のレースはその影響を大きく受けた。
不祥事1988年2月、江戸川競艇の職員が表向きには発売締切としていながら発売停止の処理を行わず、レーススタート後に先頭に立った艇を頭とした舟券をある程度発券してから即座に締め切りとし[24]、2200万円あまりを不正に取得する事件が発覚した[25]。一時は組織ぐるみの犯行が疑われたこともあり、再発防止策が不十分であるとして当時の運輸省及び自治省が開催権の更新を認めなかったため、同年3 - 5月にかけての開催が中止となった[26][27][28]。なお当該職員は業務上横領罪で逮捕・起訴され、1991年5月に東京地方裁判所で懲役1年10ヶ月の実刑判決を受け、控訴するも1992年4月に東京高等裁判所にて棄却され実刑が確定している[26]。 場外発売場なし アクセス無料送迎バス![]() 車徒歩
脚注注釈
出典
参考文献
外部リンク |